今、家についた。なんだかあっという間の14日間、今まで本で見たり人から聞いたことと自分の眼で見て行動した現実とにギャップと戸惑いを感じた。
スリランカでは日本よりも古い土地に今まさに近代化の波が押し寄せている。複数の宗教が人の摩擦を生み一部の人だけが利益を独占し生活の格差を広げている。都市部では車やバスの排気ガスが深刻で皆忙しくクラクションが絶えないが夜9時も回れば街には誰もいなくなる。もちろん全ての商店も閉ざされる。内戦の影響もあり農村部では経済が著しく落ち込み生活難を強いられているが誰もが顔を会せば笑顔で答えてくれる心やさしい人達が多くこちらも心温まる。
沿岸部に住んでいるウォーターマンのタミル人である友人の家で食事をご馳走になり毎日様々な話をしたがホントに同じ地球でこうもちがうのかと疑問の連続で彼等の生活体系は今までの自分の経験の中でも最もインパクトがあるものだった。
先進国の人からすれば発展途上と位置付けられるが教養をお金で買えない彼らの方が人間としてサバイヴし自然界で生きて行く術をはるかに心得てる。精神の鍛錬にも余念がなく心身ともに鍛えられた人の境地に触れ感嘆した。山岳部の田舎やジャングル、海洋の自然はすばらしいの一言で、本物の生態系が生きている世界はまさに夢のようだった。今後来るであろう近代化の波の中、豊かな自然もじきに開発され汚染されていくのかと思うと人は便利な生活と引き換えに大切なものをなくしてしまうのではないかと思う。
なんでもそろっていて当たり前の高度経済成長後の東京に生まれた自分に取っては動物である人としての本来のあり方を痛烈に教えられた。原始的な海と大地の営みの中でお金では買えない笑顔は一層輝く、貧困であれ力強く家族と共に大きな自然の中で生きていく世界に心から感動した。
人生は自分を探す旅だと言うけれど、今回は自分自身のことをもっと掘り下げたい衝動に駆られた旅だった。沢山のインスピレーションとアイディアを得たので今後どのような形で出てくるかとても楽しみだ。焦らずに自分のペースで生きて行きたい。