運転を彼女に変わってもらいワインディングが続く山道を越え、ようやく出てきたドラッグストアで四割引のアイスをゲットした。
凍ったアイスを首や顔、腕や脚につけると熱っぽくだるかった身体が少しづつ楽になるのがわかった。
身体中に当てられ体温で溶けてしまったアイスを飲み干し、もうひとつ買ってから須崎へと再度走る
何処で乗ってきたのか、車中に一匹のハエが入っていて窓やドアを開けても出て行かない。
運転するあやこがジョニーと名付けて道中を共にする事になり仕方なしにエアコンをつけて密閉された車中をジョニーとシェアするとステアリングウィールが気に入ったようで山道を右に左に大きく動かしても動じず止まっている。
風変わりなハエを助手席からぼんやり眺めているとナバホインディアンの神話を思い出していた。
人は人の前、二匹ハエで七つの世界を抜けて経験を得て知恵を持ち教訓を理解してようやく人になる話しだ。
腰近くまで伸びた髪を切れずにいた10代の時に夢中なっていたネイティブスピリッツを感じて思い出し話し始めると少しづつ元気が出て意識が戻ってきた。
しかし不思議な事にこの車には愉快な虫達が次々に乗ってくる現象が起きてる。全ての命は次へと導いて道中を守ってくれているのだろう感じ始めた
誰かの生まれ変わりなのかな・・・
助手席で朦朧とぼやけ始める意識の中、山の向こうへ落ちてゆく夕陽が土佐の空と稜線を染めてきれいだった。



