カウアイで財布を無くし帰国を遅らせたのは一つの原因には違いないだろう。
東京に戻り、その足でヒロの家に行って一晩飲んで盛り上がって次の日に自分の家に帰り一階の郵便箱をいつものようにのぞくと自分のではない鍵が付いていて箱の中身は空っぽだった。
すでに変事の兆しには気が付いたが13階の我が家にエレベータで上がる。
長い廊下を歩き家の前までくると廊下に面した曇りガラスの窓からは明るい太陽光が室内に広がっているのが分かった。明らかにあるべきはずのものは室内に無く、ドアの上部には南京錠がかかっていたので公団の事務所に事情を聞きに行くと帰国した日に強制撤去したと告げられた。
理由は過去の家賃の未払いで長期不在の為に行政執行したと言う。
15歳の時から15年間独りで暮らしてなんとか維持してきた場所だったが、カウアイで家を片付ける決心をして戻ると既に行政処理されていたのは出来過ぎの筋書きだ。
こうして自分の戻るべき我が家は無くなり勝手に運び出された荷物は2トントラック5台を使い公団の倉庫に移し保管してあると知らされる。
物量的に独りではしんどいのでヒロとキジュンとセイジに応援を頼み数日後に荷物を引き取りに指定の場所に行ってみると、全てのモノは段ボール箱に入れられ積み上げられていた。
写真はこれから箱を全部開けて、いるものといらないものとを仕分ける作業をする前に唖然としているところ。ナカネセイジ撮影